【完】あんたなんか知らないっ!!







「幼稚園の時は、誰も碧海と遊ぼうとはしなかった。
いつも遠くを見つめてて、私も一生懸命話しかけたけど上の空だったよ。」




那瑠ちゃんはそう言って笑った。




「...碧海は、一人の方が楽だったのかな。」




碧海は、私たちより一歩先に行ってて、私たちを上から見ているように感じるときがある。

冷静で、大人しくて。

大人が見守るように私たちを見てた。




「...碧海は多分、失うのが怖いって幼心に思ってたんだと思う。

碧海は、その時両親が離婚して、お兄ちゃんと離れ離れになったの。
碧海はお父さんに、お兄ちゃんはお母さんに。


離婚理由が、お父さんの浮気で。
もともとはお母さん一人で出てくつもりたったのに、途中でお兄ちゃんに見つかって...

そこから、碧海とお兄ちゃんは会ってなかったの。

...中2になるまではね。」




那瑠ちゃんはそう言って鞄の中から写真を出した。

そこに写ってたのは、私のクラスの担任をしていた真田先生だった。



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