【完】あんたなんか知らないっ!!







「...っ、寝てた。」





なんて一人で呟く。
けど視界にはいったのは天井でも布団でもケータイの画面でもない。






「...おは、よ。」






遠慮がちに呟くのは今会いたくて堪らなかった子。





「...な、んで。」




「由香さんに、入っていいよって言われて...

ごめんね、嫌だったよね。」






今目の前で泣きそうな顔をしているのは確実に自分のせいであって。


でも俺は君の泣き顔を見たいなんて思ってしまったり。






「翠、ほんとに、ごめんなさい...」





そういって涙目になる君を記憶に納めようと必死になっている。


君が謝るようなことはないのに、泣き顔が見たいが為に黙っている。




なんて性格の悪いやつだ。


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