【完】あんたなんか知らないっ!!
理都が引退するとき、初めて同じチームとして戦った。
他の上級生が何人も食いついて、それでも突破していく姿は、小1のガキからみてもスゴいのがわかった。
『翠、お前なら俺を超えられる。
サッカー、楽しめよ。』
そういってカッコよく辞めてった理都だけど、そのあと公園で一緒にサッカーをやっていたのはクラブのやつには内緒だった。
『優宇、理都、中学校入学おめでとう!!』
二人の中学祝いでは、母親と選んだハンカチと缶バッチを渡した。
二人は喜んで使ってくれた。
優宇は家庭科部に入って裁縫や料理をしていたらしく、たまに美味しそうなお菓子を持ってきてくれたりした。
理都はサッカー部に入り、俺の知らない同じクラブだった人と仲良くしていた。
『優宇と理都遅いねー』
『理都も委員会だといいんだけど...』
中2になると、理都と優宇の帰りが遅くなってきていた。
親たちは一緒に帰ってくるだろうと気長に待っていたけど、俺は正直そんな風に思ってなんかいられなかった。
当時小学3年生だった俺には、一つの"想い"があった。