【完】あんたなんか知らないっ!!
後夜祭も終わり教室に戻ると、弥咲が待ち構えていた。
「翠くん、ちょっといいかなぁ...?」
「は、はい...」
弥咲の気迫はまさに<鬼>と呼ぶのに相応しいぐらいで、普段なら素敵な笑みも、余計に怖く感じさせる。
「碧海、ちょっと翠くん借りるね~♪」
「は、はい!
どうぞご自由にお使いください...」
「ありがと♪」
弥咲は微笑みながら翠の腕を引っ張り、教室から出ていった。
「...ごめんな。」
「なにが?」
「翠のこと、ひっぱたいて。」
ああ、そんなこと。そう呟くと、大和は何故か慌て出した。
「え、だって彼氏の顔叩いたんだよ?」
「私たちまだ付き合ってないよ?」
「「「はぁ!?」」」
「えっ!?」
クラスメートが突然叫びだし、何のことかと周りを見渡すと、みんな呆れたような顔をしていた。
「まぁ、碧海は納得してんだろ?」
「もちろん。
寧ろ私から言ったことだしね。」
そう笑うと、大和はほっとしたような顔をして、クラスメートの輪に入っていった。