【完】あんたなんか知らないっ!!
「この不良品返却しに来ました~」
「不良品言うなよ!」
「あ?」
「いえ、何でもないです...」
横腹を押さえてる辺り、おそらく弥咲に蹴られたのだろう。
スッキリした顔で弥咲は大和のもとに向かった。
「...おかえり。」
「ただいまっす。」
そんな挨拶が出来るのもなんだか嬉しくて、表情が緩みっぱなしなのは言われなくてもわかる。
「来週、優宇のところ行ってくるよ。」
「...いってらっしゃい。」
「...あのさ、ついてきて欲しい。
なんて言っちゃダメかな...?」
「...は?」
思わず変な声が出てしまったけど。
翠のいってる意味があまりわからないのは事実。
「自分でも意味わかんないこと言ってる自覚はあるんだけど...」
「...いいよ。」
「いいの!?」
「だって久米選手とお話しできるチャンスでしょ?」
なんて言ってみたけど、ほんとは翠の小さい頃の話を聞きたいだけ。
「じゃあ、行く日連絡する。」
「待ってるね。」
そのあとは委員長に急かされ、いつの間にか誰もいなかった教室を出た。