【完】あんたなんか知らないっ!!
テーブルの上は今にも落ちそうなぐらいのご馳走でいっぱいだった。
「好きなものだらけ...」
教えた記憶のない私の好きなものは、いつもよりキラキラしていて、食べるのがもったいなく感じた。
「なんのためにスパイ送り込んだと思ってるの。」
「スパイ...?」
「誰かに、好きなもの聞かれなかった?」
そう言われて真っ先に浮かんだ子がいた。
「将護くん...」
「せいかーい!
あの日預けたのはそれを聞いてもらうのと、これを選ぶため。」
そういって出されたのは、大きな箱に入ったたくさんのぬいぐるみ。
「選ぶのほんと苦戦した。
碧海って普段こういうこといってくれないから。」
文句を言いながらも私が欲しかったものをちゃんと選んでくれるのは、きっとこの子しかいないだろう。
「俺からは、帰ったらの楽しみだ。」
そういって大和から渡されたのは可愛いケースに入ったSDカード。
「誕生日おめでとう。
いままでたくさんお世話になりました、これからもよろしくお願いします!」
「誕生日にSDって新しいね...」
思わず笑ってしまったけど、きっと大和なりに形が残るものでくれようとしたんだよね。
ああ、もう。
「みんな大好き...」
そう呟かずにはいられなかった。