【完】あんたなんか知らないっ!!
「あれ、お母さん...??」
男の子は必死にお母さんを探す。
ちがう、そこじゃない。
ここだよ。
そう伝えたいのに呟くようにしかでない声。
「お母さん...っ!!」
小さな涙袋に収まらない涙。
いますぐ駆け寄りたいのに、動けない。
救急車。
呼ぼうとしても、俺の手には何もなかった。
なんでこんなときに。
そんな歯痒さが残り、俺はその場に立ちすくむことしかできない。
なんて愚かなんだろう。
人一人追いかけられずに
止められずに
寄り添うことも出来ずに
俺は何がしたいんだ
周りには誰もいない
なのに何も出来ない
なんて役立たずなんだろう