【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「貴方と結婚したかった。だから、こんな結果になったこと、許してください」
「へ?」
「貴方を手に入れるには、一世一代の賭け、でした」
「つまり……?」
「一回だけ、避妊しませんでした」
言葉を失って、へなへなとお姫様抱っこの中、倒れ込む。
その言葉は、一か月悩んで悩みぬいた私には信じられない言葉だった。
「大丈夫? 不安だった?」
「し、信じられない! 不誠実です!!!」
どれぐらい自分が不安で、でも愛しくて、どうしても育てたいと願ったこの気持ちに一気に泥が塗られた気持ちだった。
「すいません、二人で話がしたい。いいですか?」
デイビットさんにそう言われた幹太さんが、こくこくと頷くと母たちがいる個室へ戻っていく。
幹太さんが居なくなってから、私は右手を振り上げたけれど、真っ直ぐに綺麗な瞳で私を見るデイビットさんに振り落とせられなくて、代わりに涙が滲んできた。
「貴方が、ずっと好きでした、――美麗」
ずっと、その『ずっと』がいつからなのか信じられなくて涙を流す。