【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
私がデイビットさんを知る前から、私に会いたいと思ってくれている人が居た。
私を見つけ出そうと思ってくれる人が、いた。
「君の亡くなったお父さんも言ってくれましたよ。『君は私の娘を好きになる』と。もし好きになったら、彼女の意志も固いなら、一緒になりなさい、と。私は、貴方が本当に私を好きになるか試したかった。――嫌、あの夜、二人は恋に落ちたと確信した。だから、こうするしかなかった」
「デイビットさんなんて、嫌い!」
「それは、今からの私の活躍を見てから決めてください」
「母に今から会うつもりですか?」
「またお見合いなんて画策される前に、はっきり伝えます」
デイビットさんは上機嫌だ。
最初から賭けには負けるつもりはなかったんだろう。
狙いは私なら賭けは全てデイビットさんの勝ち。どうやってあの母親を黙らせるのか、はたまたまた得意の賭けで支配するのか。私の心中は穏やかではなかった。
本日はお日柄もよく、ただただ嵐の前の静けさなり。