【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
一か月も会わなかったくせに、そんな真っ直ぐな事を言うなんて。
まだ素直に慣れない気持ちが、デイビットさんの気持ちを疑ってしまう。
未だに、ふわふわした夢の中にいる気分だ。
「まぁ、俺は本当に好きな奴なら妊娠してても問題ないんだがな」
重い雰囲気の中、幹太さんがゆっくりと喋り出す。
「俺は奥手でも恋愛に興味ないわけでもなく、――大切な奴とその子供がいるってこと。あと、早く一人前になって傍に居てやりたいってことだ」
「幹太さん……」
その大切な人が誰なのか思い浮かんでしまった私は、言葉を失う。
いや、春月堂の皆さまならきっと分かるだろう。
「つまり、貴方達は最初からお見合いの席ではなく、己の気持ちを宣言しようと企てていたのね」
小百合さんが嘆息しながら疲れた顔で言う。
今日を楽しみにしていた二人には申し訳ないことをしてしまったけれど、私ももう後には引けない。
「すいません。でも、この子を産みたいって失いたくないって決めたんです」
お腹を押さえながらそう言うと、小百合さんは力なく笑う。
「麗子さんは頑固だから、しっかり話合いしなさいね」