【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
一人で育てるなんて見栄を張っていたけれど、実際はそんな事不可能に近いことは薄々感づいていた。
でも、どうしてもお腹にもう一人心臓が動いているのだと思うと、気が気ではなくて。
だから、それが仕組まれたことで私と結婚する為だと豪語したデイビットさんに、腹立たしい気持ちと、私を思ってくれていた気持ちとそれぞれが相反して、素直に慣れずにいる。
ましてや、男の人の家にいくなんて初めてのことだった。
車のドアを開けられ、中に入るよう促されて後ろを振り返る。
美鈴と幹太さんが笑顔で見送ってくれていて、これは良い兆しなんだと目で言ってくれている。
不安を押し殺して、――車に乗り込んでデイビットさんの家へ向かう。
「美麗」
「はい」
「女々しい事を聞きますが、怒らないで下さいね。あ、先に抱き締めるかキスしていいですか?」
車に乗り込むや否や、そう言われ思わず首を振る。
「質問からどうぞ!」
まだレストランから出てもいないのに、この人は何を言い出すのか。