【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「では。何で連絡をくれなかったんですか?」
連絡?
「ずっと待っていたのに。私から女性の連絡先を聞くのは失礼かなと待っていました」
「そ、それは私の方が言いたいです! 連絡先なんてどこにも書かれていなかったです! だから、――だから貴方は一夜の過ちにするのかと思ってました」
私が連絡をしなかったような、あてこすりは止めて欲しい。
だって、ホテルで起きた朝、どこにも連絡先なんて書かれていなかったし、ワンピースまで無くなっていたら、春の夢の出来事だと誰だって感じてしまう。
「たった一回の逢瀬で貴方を手に入れるつもりは無かったです。それに、連絡先は書きましたよ」
「どこにですか?」
「そのワンピースを贈った時に、入れたメッセージカードの裏に」
メッセージカードの裏!?
すぐにカバンに入っていた財布の中から、あの日に貰ったメッセージカードを取りだした。
その裏に、名前と電話番号が書かれている。
「こんな所分かりません!」
「ふふ。でも気づいていて連絡をしなかったわけじゃないのでしたら、それで良いです。嬉しいです」