【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


いつの間にか、イギリス大使館の目の前まで来ていた。

「これから毎日、手紙をかきますよ。それで許してください」

「……デイビットさん」


大使館にも私の家にも、桜はとうに舞い散ってしまったけれど、私の心にはまた風とともに雪吹雪のような桜が舞う。


始終にこやかなデイビットさんに余裕を感じてなんだか複雑だった。

私だけが可愛くなくて、素直じゃない。
デイビットさんは、6月にあったエリザベス女王の誕生祭の大使館イベントについてずっと説明してくれた。その準備や、各財政界の関係者を招待する手配など難しいことはよく分からないけれど、忙しくても楽しくて充実していたのが伺えた。


「それでも私は、時間を見つけては会いに伺ったのです。まさか、一か月で貴方がそこまで成長しているとは思いませんでした」

「成長?」


「とても、美しくなりましたよ」

そう笑う、瞳が好き。
真っ直ぐで優しくて、慈愛に満ちていて。

私は、彼に言わなければいけないことが沢山あり過ぎた。


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