【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「着きましたよ。朝、こうなると予想して片づけましたが、汚いです」
外人さんでも謙遜するんだなと思いつつも、車から聳え立つマンションを見上げた。
煉瓦作りの、それほど戸数も多くないような温かみのあるマンションで、窓辺に花を飾っている部屋が多かった。
「外国人はなかなか部屋は借りれませんが、ここは管理人さんも優しくてアットホームですよ」
また車のドアを開けられ、エスコートされながらにこにこと笑顔で言われた。
オートロックを解除すると、管理人室の横に小さな滑り台とジャングルジムが置かれていた。子供がいるのかもしれない。
最上階の四階の角部屋に案内されると、モデルルームのように綺麗な空間で入るのを躊躇してしまう。
でも、ちゃんと伝えなくては。
「あの、お部屋に入る前に私、私も謝らせて下さい」
「なんで美麗が?」
ソファにジャケットを置き、ネクタイを緩めながら此方へと向かってくる。
「人のせいばかりしちゃうのは、私の悪い癖だから。合意だったんだからデイビットさんだけが悪くないのに。私、――確かめもせずに一人で育てようと勝手に突っ走っちゃったし」
「ふむ」