【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
まとまらない私の言葉を聞いて、そう一言だけいうと手を差しぼべてきた。
その手を、おずおずと掴むと優しい手つきで立ち尽くす私の足から靴を脱がす。
「じゃあ、お腹の赤ちゃんが聞いちゃうと心配するので、謝るのは止めましょう。生まれてくれてありがとうってそんな優しい言葉だけ届けましょう」
「デイビットさん」
「で、出来たら私にも優しい言葉を下さい。プロポーズの返事、聞いてもいいですか?」
跪き、私を見上げる碧色の瞳が揺れる。
暖かいその色が、私の言葉を涙に変えていく。
「こ、わいです」
「知らない世界に飛び込むのは、経験のない貴方は怖いでしょうね」
「私、――できるのかな」
「招いた私が、ずっと守りますから。怖いなら、泣いてしまいなさい。その涙、全て私にぶつけて下さい」
手を取り、ソファに座ったデイビットさんの膝の上、向かい合わせで座る。
デイビットさんの香水に交じった汗の匂いが、あの日の夜を色鮮やかに思い出させる。