【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
デイビットさんの腕枕で眠り、デイビットさんに送って貰い、お店の仕事に立つ。
森田さんが何度も何度も私に視線を送ってくるが、仕事に努めること、午前11時。
小百合さんもおじさんも、気にしないでと何度も何度も私に言ってくれたから、きっと森田さんは私たちのお見合いが駄目だったのを察している。
詳細を聞きたくてうずうずしているんだと思う。
いつもならきっちり対応するのに、今日はお土産袋を一つ多く入れてしまう彼女らしくないミスをしていたから。
「おい」
暖簾を上げて、幹太さんが店にやって来た瞬間、森田さんの顔が私を見た。
「はい」
「迎えが来る時間になったら頼んで着替えろよ」
なぜか幹太さんまでそわそわ落ち着かず、調理場と店を先ほどから行き来している。
私に何か言いたいことがありそうなのだけど、森田さんの手前なかなか本題に入れていない。
ちょうど、電話が鳴り、森田さんが対応すると幹太さんは小さく咳払いした。
「お前、イギリス語はできるのか?」