【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「え、あ、イギリスはクイーンズイングリッシュとは言いますが基本英語ですから」

「じゃあ、英語はできるのか?」

焦って苛立っている幹太さんの眼光は鋭い。
私は、その眼には自信を持って言えず、どもりながら微かに頷く。

「私、英語科短大卒です」

その言葉に、幹太さんが胸を撫で下ろしたように見えた。

「幹太さん?」

「あとは証拠だけか」

小さく呟くと、自分で言って納得してしまったようだ。
ますます私には分からない。

「親御さんの説得は?」

「き、今日、その病院へ行ってから家に寄ろうかと」

「そうか」

お腹の子供が育っていると分かれば、母だって話を少しは聞いてくれるはず。

美鈴の話では、母は家に着くなり部屋に籠ったらしく、全然状況が読み取れないし。


「ちょっと、鹿取さん、貴方今、英語が出来るって言ったわよね?」

電話を保留にした森田さんが、後ろにも耳があるのかしっかりと私たちの話を聞いていたらしく、そう呼ぶ。
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