【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「言葉か足りないのは二人ともよく似ていますね。私は、麗子さんに感謝します。貴方が冷たく突き放してくれたお陰で、美麗は私の元へ舞い降りて来ましたから」

「――突き放したことなど、一度もありません」

母の言葉や空気は怖いのだけど、それとは裏腹な言葉の端々が私には理解できなかった。

母からは本当に鈍臭くて大人しい私なんて、嫌われているかうっとおしいかと思っていたのに。


「じゃあ、これからまだいっぱい話していけば良いです。生きていたら、話しあう機会なんていっぱいありますからね」

「若造が偉そうに」
フンっと母が鼻で笑い飛ばした後、私と美鈴を見て、そして静かに言う。


「男の子です」

そう言って、デイビットさんを睨む。


「女の子は二人も居るんだから、次は男の子です」


(あ……)


母の意外な言葉に呆然とすると、デイビットさんが不敵に笑う。

「丁度良いですね。私は女の子だと思っています」

デイビットさんも私たち二人を見て、優しく笑う。

そして少し後ろへ下がると、両手を畳の上へ着いた。

< 144 / 245 >

この作品をシェア

pagetop