【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「言葉か足りないのは二人ともよく似ていますね。私は、麗子さんに感謝します。貴方が冷たく突き放してくれたお陰で、美麗は私の元へ舞い降りて来ましたから」
「――突き放したことなど、一度もありません」
母の言葉や空気は怖いのだけど、それとは裏腹な言葉の端々が私には理解できなかった。
母からは本当に鈍臭くて大人しい私なんて、嫌われているかうっとおしいかと思っていたのに。
「じゃあ、これからまだいっぱい話していけば良いです。生きていたら、話しあう機会なんていっぱいありますからね」
「若造が偉そうに」
フンっと母が鼻で笑い飛ばした後、私と美鈴を見て、そして静かに言う。
「男の子です」
そう言って、デイビットさんを睨む。
「女の子は二人も居るんだから、次は男の子です」
(あ……)
母の意外な言葉に呆然とすると、デイビットさんが不敵に笑う。
「丁度良いですね。私は女の子だと思っています」
デイビットさんも私たち二人を見て、優しく笑う。
そして少し後ろへ下がると、両手を畳の上へ着いた。