【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「貴方から、大切なお嬢さんを頂くのですから、生まれてくる子は――女の子です」


深々と頭を下げる。191センチもある大男が、畳に額を擦る。


「ですので、美麗を私に下さい」

『貴方から、大切なお嬢さんを』

そうデイビットさんは言ってくれた。

涙が込み上げて、大粒に溜まり音もなく頬を流れていく。

私は。

私は。

この人に見つけて貰えて本当に良かった。
この人に、此処まで言って貰えて良かった。

やっと、負け犬のように生きてきて私の心が、暖かいデイビットさんの言葉で満たされていく。


「私、デイビットさんが良いです。もう怖くない。彼がいい」

デイビットさんの背中にしがみ付いて泣く。
震えて声にならない声で、言葉を探して。


身の程知らずにも関わらず、お姫様に憧れて。
世間知らずのくせに、一人で生きていこうと強がって。
お腹の子を守るには、デイビットさんみたいに頭を下げるも必要なのに。
私は何も見えていなかったのね。

「もし賭けが外れたら、貴方はどうするつもりなの?」
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