【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「じゃあ、急いで二人で選びたいものだけ回ります」
「はい。宜しくお願いします」
私が深々とお辞儀するとデイビットさんも深々とお辞儀した。
「さて、もっとご飯食べて下さいね。二人前は食べて下さいね」
「や、無理です。もうお腹いっぱいです。デイビットさんこそ」
「『デイビー』で良いですよ。私の愛称なんです」
「デイビーさん?」
ちょっと短くなった名前を舌先で転がすように呟く。
「クククッ 呼び捨てでいいですよ」
拳で口元を隠しながら控え目に笑う。
けれど太陽みたいに眩しくて私は初めて恋したあの日の様な胸を焦がすような気持ちになる。
貴方を好きになって胸を焦がすようになったのは、いつだったのかな。
もしかしたら、あの日よりも日々胸は熱くなっているかもしれない。
これが、『恋』なんだ――。
甘酸っぱい気持ちに、食欲を奪われながら急いでご飯を掻きこんだ。