【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


「ふふ。やっぱ春月堂のどらやきは文句なしです。それはこの繊細な餡の味のお陰ですよね。おはぎ大好きです」

「うーーん、美鈴ちゃんも可愛いね。うちの倅を貰ってやってく」
「親父、餡、見なくていいのか?」

鋭い眼光で幹太さんが睨むと、おじさんは舌を出し、悪戯した少年のように調理場へ逃げていく。

「ちょっと、送るからそこで待ってろ」
「え?」

美鈴の顔がぱあっと花が開いたかのように明るくなった。

「桔梗の病院に寄るから乗せてく。おはぎ重いだろ」

「え、あ、りがとうございます」


今度は明らかに固まった。そうか。美鈴は分かりやすい子なんだ。

こんななことさえ私は気付かなかった。

幹太さんなんて怖くて見つけたら逃げだす存在だったし。


「桔梗さん、毎日幹太さんがお見舞い行ってるのかな」

「そうみたいだよ。でも、桔梗さんのご両親を乗せて行ったりしてるから二人きりじゃないみたい」

「親公認」

「……」

美鈴が遠い目をしてうなだれている。

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