【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

美鈴は舌を出すと、幹太さんの車へ飛び乗ってしまった。

あの、小百合さんにもちゃんと挨拶しないと失礼なんだよ。


「すいません、妹は私よりはしっかりしてるんですが、うっかりと」

「あら、うふふ。良いのよ。美鈴ちゃんらしいわ。でも、残念ね。あんな可愛いお嫁さんを欲しかったわあ。舞踊の道へ行くなら無理よね」

深いため息を吐くと、小百合さんは並べられた和菓子を眺める。

「でも、あの麗子さんが国際結婚を認めちゃうぐらいなんですもの。私も息子も古い考えは捨てるべきよね。お嫁さんは外で働いてても、好いてる人と一緒に慣れたら幹太は幸せかもしれないわ」

深いため息に、私は愛想笑いで誤魔化してしまう。

幹太さんは、――大切な人がいる。
ただ、口に出しても叶わないのかもしれない。

彼女は、事故で失った旦那さんをきっと一生愛すると誓いそう。

揺るぎなくて頑固で、真っ直ぐな人だから。


美鈴も意外と頑固で、そしてガンガン自分で決めて行く人だけど。

頑固×頑固×頑固。

この三人は一方通行のまま。どうしたら、交差点で向き合えるんだろう。


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