【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「お疲れ様、美麗。さあ、乗って」
裏口から出ると、デイビーは既に車に寄りかかり、優雅に待っていた。
私服だ。スーツ姿しか見たこと無かったけれど、サングラスを紺色のジャケットのポケットにかけて、長い脚を象徴するようなジーンズ姿。
こんな格好いい人、本当に私の未来の旦那様なのかなとくらりとしてしまう。
見とれている私に微笑むと、そのまま助手席のドアを開けてくれる。
「ありがとうございます」
「いいえ。本当はどこかで食事して帰りたかったのですが、麗子さんが妊婦に外食は塩分が多過ぎて駄目だと。立花さんに食事をきちんと見て貰うようにと」
「つまり、家に帰れってことですね」
「じゃあ、私も御邪魔しようかな。ふふ。女性しか居ない園に私が入っていいのか毎回申し訳なくなりますからね」
いや、今朝、腰にタオルだけの格好で縁側を歩いていましたよね?
全然、申し訳なさそうに見えなかったのに。
「あの、私、病院に聞いてみます。確か、妊婦さんってお腹大きくなったら飛行機乗れませんよね? だから、その、それまでに」
「美麗?」
「ちゃんと、デイビーさんのご両親に挨拶しに手を合わせに行きたいなって」