【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「知ってたんですか? 私の両親のこと」

「いえ。それぐらいしか。でも私、もっとデイビーさんが知りたいです」

ご両親の思い出や兄弟は居るのかとか、何が好きでいつも何をしているのかとか。
隣に座って香るデイビーの匂いだけは、忘れられないあの夜へ繋がる。
私が知ってるのは、その腕が優しく私を抱き締めてくれること。

賭けで母の気持ちを引き出してくれること。

笑顔に中毒症が出てしまうこと。

「そうですね。私たちはもっとお互いを知り、お腹の赤ちゃんに伝えていかなければいけませんよね」

もう日は落ち、家ではご飯も用意されている。

それでもデイビーは車を飛ばし、海が見える丘の上で車を止める。
既に周りにはカップルが海を見に車から出ているので、私たちは車に乗ったまま海を眺めた。


「思い付きで来て正解でした。意外と綺麗です」

「また、賭けですね」

ふふと笑うとデイビーは目を細める。


「賭けは、この先ずっと負けませんよ」

「ふふ。凄い自信ですね」

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