【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「デイビットさん……」

「私は、その悲しい空を払拭したい。貴方と居る空の下は、綺麗だと思いたい。
早く家族が欲しかったこと、騙したこと一生愛して愛して、償います」


心の葛藤を、私にちゃんと話してくれたのが嬉しい。
言葉に詰まってしまいそうなデイビーの過去に、何を言っていいのか私には分からない。
けれど、どんな過去でも彼を形成してくれた大切な思い出なのだから同情だけはしたくない。
だから、私は触れる。彼の頬を両手で閉じ困るように触れる。


「不束者ですが、宜しくお願いします」


そう笑ったつもりなのに涙が溢れた。
彼はそれさえも受け止めて微笑んでくれていた。
そのまま抱きあったまま、彼の話を聞く。

年の離れたお兄さんがいること。
お兄さんは豪華客船の船長でなかなか陸にはいないこと。
彼以上のフェミニストだから、妊娠中の私を海外に連れ出したらきっと怒られてしまうから、私が会いに行くのは止めた方が良いらしいことも。

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