【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
そして、日本で父に会い、日本の書道に嵌り歴史を勉強し、日本語は元々両親の影響で習っていたらしいこと。
彼の話を知るのは、一夜だけでは足りなかった。
「まだ話足りませんがお腹が空きましたよね。帰りますか」
「はい」
「夕餉は私の分もあるらしいので、ちょっとわくわくしていますし、話はまた後で」
――これからずっと一緒なのだから、焦らずに話していきましょう。
そう笑う彼と私は同時にお腹を鳴らし、お互い照れくさくて俯いてしまう。
お腹の音は恥ずかしいらしいデイビーはちょっと可愛い。
私も私の話も聞いて貰いたい。
今はまだ、自分らしい何かを持っていないけど。
一緒に私を知っていてほしい。
海が見える綺麗な夜景そっちのけで私たちはお互いの話に夢中であっという間に家に帰って来てしまった。
大分遅くなったのにも関わらず、夕飯には母と美鈴が待っていてくれていた。
「遅すぎる! お稽古もあるんだから早く帰って来てよ」
不満そうな言葉とは裏腹に、なんだか美鈴の顔は嬉しそう。