【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「だったら、はやく進めなさい。お腹の子が可哀想よ」
昨日まで大反対していた人の台詞とは思えない発言に、私たちは驚きつつもけれど本当にその通りだと思ってしまう。


久しぶりの食事もそこそこに、母と美鈴はすぐに稽古の準備に向かい、デイビーは帰るので玄関まで送ることになった。

「入籍の話、また明日伺いますね。私は日本に居るならば日本籍は大切だと思うので、ちょっとややこしくなりますので」

「え、はい! あの私も!」

慌ててカバンから、休憩中に文具屋さんに走って買ったレターセットの手紙を渡す。


「連絡先も書いてます。私の気持ちも書きました」
本人を前にしてなかなか言えないことや、お礼など手紙に認めてみた。

「手紙とは古風ですね」
嬉しそうにデイビーは受け取ると、手紙に口づけする。

「貴方は、良い親と妹さんを持ちましたよね。私も嬉しいです」

おやすみなさいと私の頬に口づけを落としていくデイビー。

その感触に香りに、私の心は酔っていく。

私の妹と母が、良い人だと心が見えたのは、貴方が私を見つけてくれたからなのに。

たった一晩、離れてしまうのが寂しい。


「お姉ちゃん」


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