【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
それはそれで想像がつく。悪ガキ風の桔梗さんに、クールに対応する幹太さんが。
「『10個ぐらい』で方や妹は自分も食べたくて12個、お前は多く頼んで怒られるのが怖くてちょうど10個。あれはお前の母親の不器用ながらお前への御褒美だったかもしれないのに」
「…………」
「まぁ、母親も不器用すぎだが」
黙ってしまった私に、幹太さんが口ごもりながらフォローしてくれる。優しい。
幹太さんはあの時から優しかったんだ。
私が分かっていない、了見の狭い子供だったせいで。
「過去の話だ。つい生きにくそうだったから、強めに言ってしまったが、――俺だってあの日からお前が御使いに来なくなって、後味が悪かったんだからな」
「幹太さん……」
「何か言え。ちゃんと聞かせろ」
黙っている私は、ただ自分の意見が言えなくて固まっていたあの日の子供じゃない。
ただ、幹太さんの優しさに胸が一杯になってるだけなんだ。
「ふふ。此処に来た初日に怖がってすみません」
「全くだ」
フンッと鼻息荒く幹太さんが腕を組む。