【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
家に帰ってゴロゴロ寝がえりばかりで、あまりよく眠れなかった。
寝なければお腹の子供にも悪いのに、私は。
道は一杯あって、もう自分で選んでもいいと今度は、選べる悩みが出来た。
それが、嬉しくわくわくしている半面、一人ではないからちゃんと相談しなきゃいけない。
自分勝手に好きに決められることなんて現実では限られていて難しいんだ。
そう思うと、頭の中がぐちゃぐちゃで自分が何に対して不安や不満があるのかさえ分からなかった。
「大丈夫ですか?」
だから、朝迎えに来たデイビーに不思議そうな顔をされても、へらりと笑うしかなかった。
何に大丈夫かと言われたのかと思ったけど、どうやら後ろにファスナーがあるワンピースを後ろ前に着ていたらしい。
「着せてあげましょうか? 後ろのファスナーは自分では上げられないでしょう」
「あ、はい、あの」
「脱がすのも、――上手いですよ」
「き、きゃー!」
デイビーは朝から彼らしさ全開でした。
私の叫びに美鈴が稽古場から顔を出し、私の服の後ろ前に顔を真っ赤にして脱衣場へ連行されてしまった。
美鈴の服を借りたのだから尚の事。
玄関でデイビーの笑い声を聞きながら、私は着替えて美鈴にファスナーを上げてもらったのでありました。