【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


「悩み事ですか?」

「悩み事の整理がつかないことが悩みです」

デイビーの車に乗り込みながら、深いため息が出てしまった。

「じゃあ、後で観覧車にでも乗りながら聞きましょう」

「本当に乗るんですか!?」

何処に向かうか分からないまま、そう驚くとデイビーは当たり前だと言わんばかりに頷く。

「貴方も乗りたくなります。賭けても良いですよ」

「何を賭けるんですか」

いつもいつも、自信満々に賭けるけど賭けるものは大事なものなのだろうか。
私がデイビーの困るものを賭けに欲しいと言ったらどうするんだろう。

「そうですね。美麗は欲しいものとか無さすぎるし……何が喜ぶかな」

まずはそこからなんだ、とこそばゆい気持ちになりながら着いた先は、某有名ブランドのジュエリー店で車を止めると御店の店員がすぐに出迎えてくれていた。

「お待ちしておりました。ブラフォート様、此方です」


平日だからか、御客は見えなかったのに二階の個室へ案内された。
この前、美鈴の好きな芸能人が此処で結婚指輪を買っていたと騒いでいた所だ。
白を基調にした店内は、高級感が漂っている。綺麗な店員さんがチョコと紅茶を持ってきてくれて、私たちの前に置くと大きなファイルも取り出し開いた。


「ブラフォート様のお祖母様からから譲り受けたこの婚約指輪のデザインの変更と、結婚指輪の購入についての御話でよろしいでしょうか」
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