【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「布が欲しいんです。布と綿とあと裁縫セット」
次は、デイビーの御買物(?)なのか、並んでいる布を真剣に見ながら選んでいる。
デイビーが使うものを作るのではないようで、ピンクや花柄の布ばかり見ている。
「何か縫うんですか?」
私もピンク系を見つけてはデイビーを呼ぶ。
十種類ぐらい壁に並べて、顎に手を置きながら唸りながら悩んでいる。
「デイビー?」
「デディベアを作りたいんです」
その言葉は意外な言葉だった。
「デディベア?」
「はい。日本でも最近流行り出したと聞きましたよ。ファーストベアって言って、赤ちゃんの友達として贈られる事が多いんです」
リボン柄とハート柄の布を見比べながら、デイビーはちょっと声のトーンを落としながら言う。
「私が貰ったファーストベアは、有名なブランドが手掛けるファーストベア用の高級なやつでして、日本円で三十万はしました」
「さ!?」
私の知っているぬいぐるみの値段じゃない。
「ガラスケースに飾って触らせては貰えず、本当に悔しい思いをしました。だから、私は自分で作って、そしてボロボロになるまで遊んで貰いたいのです」