【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!



ガラスケースに入ったクマのぬいぐるみを見て悔しがる子供のデイビーを想像したら、ちょっと可愛かった。
値段を聞いて、我慢しちゃうその姿は、哀愁さえ感じちゃうんだろうな。


「ねぇ、そのデイビーが作るクマさん、一人だけって寂しくないですか?」

「そうですね。私のベアも三匹いましたよ」

「じゃあ、私も作りたいです」

御裁縫なんて高校以来したこと無いけれど、でも私も何かしてみたい。
できれば、デイビーと同じものを作りたい。

「今まで過ごした環境も、国も、年齢も違うから、その、上手く言えないんですけど、デイビーと同じ目線で同じことをもっとして、――お互いのこと知りたいです」

「美麗。嗚呼、美麗、今、ものすごくキスしたいです。せめて抱き締めさせて」


布の山の中、死角だと信じて素直に抱き締めてもらう。
デイビーの香水も、体温も、甘い言葉も、その力強い腕も、胸がぎゅっと締めつけられるぐらい好き。

「じゃあ、一緒に選んでも良いですか?」

デイビーの背中をポンポン叩くと、彼も私の頭をなでる。

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