【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


「子供の為にも、国籍だって日本で良いのか、それでいて貴方がイギリスに、全てを捨てていけるのか。私が知りたいのはそれだけです」

優しいデイビーの口調にほだされそうになる。
でも、違う。そうじゃない。

私は、また誰かに決められてその上のレールを歩くだけじゃ、結局何も変わっていない。
デイビーに守られて、今度は彼に餌を貰うだけになってしまう。


「ごめんなさい、貴方の事は好きだけど着いて行くのはもうちょっと待ってほしいし、国籍とかは子供が大きくなったら選べるなら選ばせてあげたいし、私、私、今、したいこと放ってイギリスに行ったら、きっと後悔する。
後悔して、きっと貴方のせいにしてしまうんだ」


そう。他人のせいにするのは、簡単。気持ちだってきっと軽くなる。彼もきっと私を許してしまうし。

自分だけがどんどん嫌な奴になってしまうんだ。


「でも、でも、デイビーとも離れたくないよ」

やっと傍に居れると思ってたのに。
一夜限りじゃなかったし、母のことだって、赤ちゃんのことだってやっと乗り越えられたのに。


「行かないで、下さい。嫌だ」

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