【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
どう大変なのかは聞きたくないけど、――今、任期が終わるのは嘘って言った?
「で、デイビーの馬鹿!」
「ごめんなさい」
にっこり甘い笑顔で謝るその顔は、全然反省していない!
試すなんて、そもそも賭け事もそうだ。人の気持ちをそんな風に試して私があたふたするのが面白いだけなんだ。
「そんなに信用されていないなら、知らない! デイビーなんて嫌い」
「私は、大好きです、今、ますます好きになってしまいました。愛してます」
「うるさい! うるさいです!」
ポロポロ涙が溢れてくる。
真剣に悩んだのに。真剣に考えて、デイビーの足かせになるような我儘だって吐いたのに。
「そんなデイビーさんなんてこうだ!」
私は、観覧車の中でぴょんとジャンプした。
すると、微かに揺れた気がしてデイビーが少し目を泳がせる。
「美麗、駄目ですよ。揺らしたらもしかしたら落ちてしまいます」
「知りません。えいっ」
「美麗!」
座っている部分にデイビーが両手を着く。
組んでいた足も戻し、高所恐怖症のデイビーは表情に微かに焦りが浮かぶ。