【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「美麗、貴方、立花さんの御手伝いしなさい」
「え?」
いつの間に背後に現れたのか、母は縁側からひょいと現れる。
「嫁に行くならそろそろご飯も作れるようになりなさい」
「え、あ、はい……」
「デイビットさん、どんな御飯が好きなのかも聞かなきゃね。和食でいいのかな。イギリス料理?」
料理、薄々頭の中で浮かんできたりしてたのだけどそろそろ習わなきゃ、か。
御庭を佐和子さんと見ているデイビーの背中を見ながら台所へ歩く。
今日はもう結納用の会席が届くことになっているけど。
「あら、良かった。ねえ、美麗さん」
台所で立花さんが料理本を机に置いてにらめっこしていたが、私を見て駆け寄って来る。
「どうしたんですか?」
「デイビットさんって、紅茶の本場イギリスの方ですよね。美味しい紅茶の入れ方を見てたのですが、種類はどれが良いでしょうか」
「ええ!?」
台所のテーブルの上には、高級そうな紅茶の缶が何個も置かれている。
でも、私もデイビーが紅茶を飲んでいるところ見たことないし、どれが美味しいとか分からないけど。
「好きな銘柄だけでも聞いてきて頂けますか? ティーバックなんて出したら怒るかもしれませんし」