【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!

「おばさんには勝てないし、この作品で認められたんだから、複雑だか喜ぶことにするか」

そう言いつつ顔はしかめっ面だ。

「彼はどうして喜んでいいのにあんな怖い顔なんですか?」
不思議そうにデイビーが言うので、本当にお腹がよじれるかと思った。

「きっと恥ずかしいんですよ。もっと皆でおめでとうって言えば彼も観念すると思います」

「なるほど」

納得したデイビーに、握手され抱き締められ、おめでとうの言葉を沢山浴びせられた幹太さんの顔に、今度は美鈴が大笑いする番だった。
佐和子さんは縁側に座り、そんな様子を見てほのぼのと頬笑み、まるである晴れた春の日のように暖かかい時間に感じる。


はしゃぐ皆を置いて私だけで和菓子を運び、立花さんに渡すとまた皆の方へ戻る。
その時には、もうデイビーは佐和子さんに和菓子を見せに二人から離れていて、代わりに幹太さんと美鈴が無言で見つめ合っていた。


「機嫌は直ったか、はねっ返り」
「はねっ返りってなんですか。お姉ちゃんには優しい癖に」

美鈴は、この前私にあの国際結婚の本を渡された件で根に持っていて幹太さんを店で見つけてもそっぽを向いて逃げていた。
素直じゃないと言うかなんというか。

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