【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
背筋をぴんと伸ばし、首元を窮屈そうに閉めた着物を着て、冷たい言葉は相変わらずなのだけど。
母の前には、色鮮やかな反物が。
「お母さん、それは?」
母が着るには少し派手というか元気過ぎる色ばかりだけど。
「男の子だったら美一さんの着物から色々作ってあげられるけど、女の子のは貴方たち二人がもう着汚していますから」
「つまり、買ったんですね……」
ゴホンと咳払いし、母は落ち着かない様子で頷く。
この前も、生まれて一か月してお参りする時の着物だとかに、と私やデイビーの着物もオーダーメイド中なのに。
「お義母さんも、美麗のキスが貰えなくなりますね」
「デイビー!」
「お待たせいたしました」
ナイスタイミングで現れた神のような立花さんと美鈴が夕食を運んでくれた。今日のメニューは、いつものしっかりした和食ではないので美鈴作のようだ。
私とデイビーの前に、小さな土鍋がそれぞれに並ぶ。
「今日は、豚肉と白菜のミルフィーユだよ。私の自信作!」