【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!




デイビーのお陰で確かに私たち家族のわだかまりは消えつつある。
けれどすれ違っていた時間はあまりに長過ぎて、未だにどこか少しぎこちない。

後は美鈴と母の問題だから、おせっかいはできないけど。


「締めにうどんにして卵を入れたら、美味しかったですね」
お腹を擦り、満足そうに笑うデイビーに私もつられて微笑む。

「そうですね」
「きっと、赤ちゃんも今頃美味しいと食べていますよ」
「ふふ」


そうだとしたら嬉しい。
一緒に同じ気持ちを共有していけるのなんて幸せなことだ。


「どうしてこう、複雑に絡み合うんでしょうね」

誰も来ないことを確認してから、デイビーの腕の中へもそもそ侵入した。
そうすると、デイビーは嬉しそうに後ろから抱き締めてくれる。
一時期は後ろからのデイビーの体臭や香水にさえ悪阻が起きてしまっていたから申し訳なかった。
けれど、今はこの体温が暖かくて嬉しい。三つの心臓が重なり合いながら、共に同じ時を刻んでいる。


「その中で、幸せになる為に賭けるんですよ。自分の運命を」
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