【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「お姉ちゃん、起きたよ」
「し。まだ寝かせておきなさい。今日は疲れているんだから」
「赤ちゃん、しわくちゃで可愛いね」
母と美鈴の声で目を覚ますと、空はもう茜色に染まっていた。
長い影が、私とデイビーの繋いだ手にも伸びている。
パイプいすに座り、ベットに突っ伏すように眠っている。
デイビーも徹夜だったのだから仕方ない。ほっとした幸せそうな寝顔だ。
「桜は?」
「今日は看護室預かりで、母とは明日から生活でしょ」
「そうだったね」
「はい、ジュース」
手元に桜が居なくなるのは寂しいけど、今日はぐっすり休んで明日から一緒に頑張ろう。
「幹太さんも桔梗さんも、あと佐和子さんも見に来ても大丈夫かと言っていたよ」
「もちろん」
「ちょっと、桜の様子を見て来てあげるわね」
母が落ち着かない様子で、看護室へ向かう。
美鈴によると、先ほどから何度も眠っている桜を見に行っているらしい。