【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
まあた、難しい顔してる。
しかめっ面で怖い怖い。眉間の皺なんてきっともう固定されてるわ。
「おい」
「何よ」
「試作品、食べるか?」
幹太が、羊羹を私に差しだしてきた。中に大きな栗がごろごろ入っている。
この親子は、本当に栗が好きだな。
「何笑ってんだ」
「いいえ。いっただきまーす」
半分に切って、そのまま一口で食べてみた。
あー…、美味しい。美味しいけど、幹太みたいな味がする。
「お前があのチビ、推したのか」
「チビ?」
「鹿取の姉の方」
幹太は、今日一日中睨んだり、冷たくしてい鹿取さんが気になるらしい。
「私は今日が初対面だよ。幹太の方が知ってるんじゃない? 鹿取さんめっちゃ怖がってたし」
「……」
図星だったらしい。何か思う事があるのか黙り込んでしまう。
こう言う時ぐらい、言いわけしてみればいいのに。
「優しくしてあげなよ。ただでさえ、幹太は見た目が怖いんだし」
「どうせ、見た目もだよ」
「見た目だけよ、キミは嘘つきなだけ」