【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
嘘つきで、優しさを隠してわざと怖い顔してる。
何度キミのその嘘つきな、背中を殴りたいと思ったことか。
「だが、親はあそこの妹との縁談持ってきたことあるからな」
「あははははは。鹿取さんの妹さんって、あの着物でよく来る子だよね。幹太、犯罪者じゃん」
「あいつはもう18歳だ」
「じゃあ、問題ないじゃない。明るくて可愛い子じゃん。美麗さんは正反対で奥ゆかしい、おじさんが好きな感じよね。守ってあげたくなるような」
本当に迷惑そうな顔してるけど、それって女の子の前でしたら失礼だと思う。
なのに、こいつは女心を分かっていないと言うか。
「俺は――」
あの夜みたい。
黙って俯いて。
考えても考えても、答えが出てこないから私は考えることを放棄した。
でも、もし幹太が私の世話を焼きたくて恋人を作らないというならばその背中をなぐらなくちゃいけない。
いや、今ももう既に殴りたい。
「俺は、桔梗が晴哉をずっと忍んでいくんだろうって分かっている。あいつの隣以外にお前が居るのは想像できん」
「……そうね。恋愛なんて一生に一回でいいや」