【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「やだやだ。辛気臭い顔しないでよ。ほら、着替えて着替えて。小百合さん、私ロッカー教えて来ますね」
「貴方は無理しないでね? お腹が張って苦しかったんでしょ」
「もう大丈夫です。着いて来てね」
嵐のようにテキパキと日高さんに連れられて、レジの中へと案内されていく。
途中、幹太さんに睨まれたような気がしたけど、そちらを伺う余裕なんてなかった。
レジの奥、和菓子を作る台所とは離れた場所に休憩室があった。
和室で、靴箱の横にロッカーが四つ並んでいて。
テーブルの上には和菓子が置かれている。
日高さんはお腹が大きいのに若草色の着物に上手に着替えて、その上から白いレースのエプロンを着る。
ちょっとだけ可愛いななんて思ってしまった。
「貴方は研修中だからこれよ」
「へ?」
ロッカーから出されたのは、幹大さんと同じ紺色の着物。生地まで同じだ。
そしてフリフリのエプロンじゃなくて、割烹着。
給食エプロンみたいで可愛くなかった。