【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
「本当よ。本当。雨の日に、青い目をした外人に迎えに来させてたのよ」
「まあ! 家元のお嬢さんは遊ぶ相手も派手ね。外人さんとだなんて」
ケラケラと休憩室で笑っているのは、――私の話?
怖くて扉の前で固まっていると、二人はどんどん話をエスカレートさせていった。
「でも全然遊び慣れてなさそうな、鈍臭そうな子だったわよ」
「案外遊ばれてるのに本気になってそうね。外人には日本の女
なんてすぐ寄って来るようですしね」
遊ばれている?
私が?
急に心臓を鷲掴みされて、きゅうッと搾り取られた気分だった。
「だって、不釣り合いなぐらい素敵な外人さんだったのよ」
中に入るのが、怖い。雨の日に、デイビットさんに社員用の駐車場を案内してくれたから、見られてたんだ。
なんだか一人で舞いあがって、私、――恥ずかしい奴になっている。
冷や汗と、上手く息が吸えない緊張で体が動かなかった。
「日高さんのお腹の子も、怪しいわよねぇ」
「幹太さんにベタベタしちゃって、此処の店狙っているわよねぇ」