【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!


「ちょっと! 休憩とっくに終わってるんですから早く行って下さいよ!」


私の背中から手が伸びて、二回ノックしてドアを開けたのは――日高さん。


開けられた扉の向こう、テレビを見ながらお茶と御煎餅をそれぞれ持った二人が、こっちを見て固まっている。

いつの間にか、幹太さんも通り過ぎて、裏口のドアを開けていた。


「あら、もしかしてまた私の悪口でも言ってたんですか? 若くて綺麗でごめんなさいね」

ふふっと日高さんは二人に笑いかけると、私に早く着替えるように目で促した。

平常を装いながらなんとか二人に挨拶をすると、すばやく着替えていく。

ロッカーの中の洋服が入った箱を見られないように開け閉めを小さく素早くしながら。

女だけの職場って、怖い。でも、鋭いなって凹むけど納得出来てしまうから怖い。


デイビットさんには確かに私、賭け事で毎回上手く丸めこまれているのかもしれない。

もしそうなら、大人って怖い。
あんなに穏やかな目で、私で遊ぶのだとしたら。
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