【完】英国紳士は甘い恋の賭け事がお好き!
そのお人形を突然辞めさせて、人間にしたい訳じゃない。
邪魔になったからこの家から追い出したいだけなんだ。

「話はそれだけよ。美鈴と話があるから、貴方はもういいわ。下がりなさい」
バッサリと突き放された。


それなら私、自分で就職先を見つけたい。
なんで全部用意するの?
なんで私の意見は聞かないで全て決めつけるの?

私はお人形じゃ、ない。感情はある。


――意志を取ったのは、お母さんなのに。

「お姉ちゃん!」
「――貴方は此方よ」

走り出す私を、二人は追いかけて来なかった。
きっとお母さんは、みっともないと呆れているんだろう。


私の卒業式だからとお弟子さんやお手伝いさんが御馳走を作ってくれようとしていたのに。
美鈴が廊下で騒ぐから全て筒抜けで。

屋敷中しぃんと静まり返った。


『やる気のない貴方より』
母のその言葉が脳裏を過る。

けど、
「だって、私の意志なんて要らなかったじゃない。短大さえも決められて、私に聞いてくれたこと、なかったじゃない」
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