難攻不落な彼女
1章 ドキドキしない彼女
「りょうすけ〜」

下駄箱のところで、靴から上履きに履き替えていると、可愛い声が聞こえてきた。

涼介が声の方を見てみると、明るめの茶色に染めた髪を緩く巻いた女の子がこっちに向かって走ってきた。

「おはよう。涼介。」

彼女は俺の腕に抱きつきながら、涼介を見上げて笑った。

「おはよう、りえちゃん。今日も可愛いね!」

「もう、涼介は誰にでもそんな風に言うんでしょ!」


ちょと頬膨らませて言う彼女は、自分がどうやれば相手に可愛く見られるのかをよくわかっている。


涼介は、そんな計算も可愛いと思う。

付け足して言うならば、彼は女の子ならみんな可愛いと思っている。

男ばかりの5人家族で暮らしている彼にとって、女の子は女の子というだけで、可愛くて愛おしい存在だ。

体のどこもかしこも柔らかく、甘い匂いがする女の子。家に帰ればむさ苦しい男しかいない涼介にとって、外で会う女の子は癒しの存在だ。
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