難攻不落な彼女
「『顔が良いから、調子乗ってる』なんて、知り合いじゃなきゃ出ない言葉だろ。」


そう言ったのは蓮で、その声に由衣が過剰に反応する。



「げっ!!!橘までいる!!!」


「何言ってんだ。初めから気づいてたくせに。」



そんな蓮の言葉に、由衣がムキになる。


「気づいてません〜。今気づいたんです〜!」

周りそっちのけで言い合う2人。


由衣の発言に腹を立てていた女の子たちもあっけ取られている。


そんな二人のやり取りを見ながら、咲良が言った。


「つまり、3人は知り合いなんだね。」



「俺ら、中学が同じだったんだ。ちなみに、3年の時はクラスも同じだったよ。
 
 俺、糸井涼介。よろしくね。」

「私、鈴木咲良。よろしくね。」



自己紹介しあっていると、咲良の腕を引っ張りながら由衣が言う。


「こんなところにいたら、咲良が汚れるよ!!行こう!」


「いや、私、糸井君の隣だから。」


苦笑しながら咲良が答えると、由衣はあり得ないという風に言った。


「何それ!!信じらんない!」


「いやいや、出席番号順だから。あり得なくないから。」


冷静に突っ込む蓮。また言い合いが始まるのかと思いきや、由衣は蓮を無視して涼介に言った。



「まぁ、咲良は、あんたくらいの顔にドキドキしたり、騙されたりしたいから大丈夫か。」

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