難攻不落な彼女
5月も半ばを過ぎ、中間テストが終わった頃だった。


「課題を出す。四人一組になれ」



歴史の授業でのことだった。


理系のクラスは、2年になると、社会なら日本史か地理かを選択するようになっている。涼介も蓮も日本史で颯太だけが地理を選択していた。


「あと、二人誰にする?」

4人一組といわれ、誰と組もうかと蓮に聞くと、蓮は涼介の言葉を聞いてはおらず、その視線の先には由衣がいる。


すると、由衣よりも先に咲良がその視線に気づく。


そして、その横にいた涼介とも目が合った。


とっさに良いことを思いつき、由衣と蓮を交互に見つめ、咲良に目配せする。


その視線の意味を理解したらしく、いたずらっ子の様な表情で咲良が笑って頷いた。


「咲良ちゃ〜ん!一緒に課題しようよ!」



声をかけながら、咲良と由衣に近づいていく。


その声を聞いた由衣が驚いて振り返り、涼介を睨んでくる。


「糸井!咲良に必要以上に近づかないでよ!!」



声を荒げる由衣を咲良がなだめる。



「まぁまぁ。良いじゃん。後2人足りないんだし、他に組む子予定の子いないじゃん。」


咲良と由衣と仲のいいクラスメイトは、地理を選択している。



他の女子は、涼介ファンだったり、あまり話さない子達ばかりだ。



「鈴木さんはいいけど、吉田は足を引っ張りそうで嫌だな〜」



横から、蓮が言ってくる。



「はぁ?足引っ張るのはあんたでしょ?」


その言葉に由衣が激怒し、言い争いになりそうなタイミングで咲良が止めた。



「一緒にやったら、どっちが足手まといかわかるでしょ。」


その一言でメンバーが決まった。
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