難攻不落な彼女
その日のお昼、涼介は自動販売機の前でいる咲良を見つけた。


「今日はちゃんと買えた?」


その声で咲良は振り返り、ちょっと自慢気にオレンジジュースを見せてきた。


「何?そのドヤ顔?」


苦笑しながら、尋ねる涼介に、咲良はすねた様に言った。



「ドヤ顔なんてしてませんけど〜」




そう言った後、咲良は笑い、続けた




「あの二人は、どうなるかな?」



「あ〜・・・どうなるかな?ちょっと余計なことしたかな?」



ちょっと不安に思っていたことを聞くと、



「いや、いいんじゃないかな?ただ、ここから先は手を出さない方が良いと思うけど。
 
 あの2人、意地っ張りだから。

 由衣もさ、橘君の前じゃあんなんだけど、普段は割と穏やかで優しいんだよ?」





「みたいだね。俺は嫌われてるみたいだから、知らないけど。」



涼介がそう言うと、咲良は涼介の方を向き、強めの口調で言った。



「違うよ。それは涼介君がどうこうじゃなくて、橘君の友達だからでしょ!
 
 あんな言い方してるけど、別に涼介君のことよく思ってないとか言うことはないと思うよ。」


涼介は、その言葉を聞いて嬉しくなる。やっぱり、嫌われるのは気分がいいものではない。


「そうかなぁ〜」


涼介が、不安げに言えば咲良が念を押す。


「そうだよ!由衣は橘君を意識しすぎてるから、涼介君はそのとばっちりを食らってるだけ。」


その言葉に、涼介は苦笑する。



とばっちりを食らってる。



正に、その通りだと思った。
< 19 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop