難攻不落な彼女
ふと、辺りを見ると、自分に向けられている視線は2種類。

一つは、腕にしがみついているりえと同じ、自分に好意のある目だ。涼介を見て、顔を紅潮させ手を振ってくる。

もう一つは、女好きの涼介に対する嫌悪の眼差しだ。彼女らの目には『自分は絶対にあんたのことなんて好きじゃない』という強い意志が込められている。

他は、自分に無関心で絶対にこちらを見ない子たちだ。

しかし、涼介は知っている。それはあくまでも表面上だと。嫌悪の眼差しだって、男としての涼介に興味がある証拠だし、無関心を装っている子だって、涼介が声をかければ、顔を真っ赤にして返事をしてくれる。結局どの子も自分に興味があるのだと。

すこしたれ目がちの甘い顔立ち。それを最大限に引き立てる、茶色く染めて、緩いパーマを当てた髪。175cmの身長と適度についた筋肉。
悪くない運動神経。勉強も怠らず、県でトップクラスの公立高校で学年30位以内に入る。

持って生まれたものと、努力で手に入れたもの、その両方をフル活用して生きる彼を本当の意味で無視できる女子などいないのだ。
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